『HADO LIFE』2026年夏号
『HADO LIFE』編集長
望月孝彦

 

 石油の起源には、太古の生物由来とする有機起源説(有機成因説)と、地球内部の炭素に由来する無機起源説(無機成因説)があります。現在は有機起源説が主流ですが、両者には明確な違いがあります。

有機起源説(主流)
 大昔の海や湖に生息していた植物プランクトンや藻などの生物の死骸が、海底や湖底に堆積し、地熱と圧力によって何百万年もの時間をかけて変化したとする説。主流の理由は、世界中の油田で生物特有の分子(バイオマーカー)が検出されることや、地質学的・化学的な証拠が豊富に揃っているためです。

無機起源説
 地球内部(マントル)に元々存在していた炭素やメタンなどの無機物が、高温・高圧の化学反応を経て炭化水素(石油の成分)になり、地殻の断裂などを通じて地表近くに上昇し溜まったとする説。主張の背景に、地球創生時の小惑星から炭素が持ち込まれたと考えられており、一部の油田が堆積岩以外の岩盤(基盤岩)内部からも発見される現象で説明出来るとしています。
 石油の「無機起源説」を踏まえると、他の惑星に石油のような炭化水素(原油の成分)が存在する可能性は十分にあります。無機起源説とは、石油の主成分である炭化水素が生物由来(有機)ではなく、惑星が誕生した時の初期物質や、マントル深部の高温・高圧環境によって無生物的に合成されたとする説です。

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