米国ワシントン大学生物工学科教授 ジェラルド・ポラック博士
聞き手/IHM&オフィスマサルエモト顧問 根本泰行
根本/ポラックの博士の最新論文「癌:予想しなかった細胞水の決定的な役割?」(原題:Cancer:An Unexpectedly Critical Roleof Cell Water?)(注釈1)を拝読し、斬新でありながら、とても重要な考え方だと感じました。今回は、この論文についてポラック博士にお話をお伺いしたいと思います。予備知識のない方にも容易に理解出来るように、解説をお願いいたします。
https://www.gavinpublishers.com/article/view/cancer-an-unexpectedly-critical-role-of-cell-water
※注釈1:PollackGH (2024) Cancer:An Unexpectedly Critical Roleof Cell Water? Adv Prev Med Health Care7: 1060.
ポラック博士 ありがとうございます。出来るだけ分かりやすくご説明したいと思います。
大前提として、シンプルに物事を考えることが私は好きです。この考え方に従うことによって、真実に導かれると私は信じています。逆に複雑に考えてしまうと、理解するのが難しくなってしまいます。
さて、癌という病気に関しては、長い間研究されてきています。50年以上前、ニクソン大統領は「癌との戦い」をテーマに活動を始めました。ですが、未だに私たちは、この戦いに勝利したとは言えないと思います。なぜ勝てないかというと、その理由としては、癌はあまりにも複雑に見えるので、完全に打ち負かすことは出来ないと多くの研究者が考えているからではないでしょうか。ですが、彼らが探究している方向性が、そもそも間違っているのかも知れません。