『HADO LIFE』2026年春号
シュタイン亜希子

 

 皆さま、新年が明けまして無事に節分・立春も過ぎ、本格的に今年の干支である丙午の年に突入いたしましたね。皆さまが生活している場所ではもう春を感じられていることと思います。私はオーストリアのアルプスの山々がそびえたつ大自然の中で毎日いろんなことを感じながら過ごすことが出来、とても幸せに思います。

 というのも、私がまだこの土地に馴染んでいなかったころ、周りの住民(長く地域に密着して生活してきた人たち)が道端で何気なくかわす会話がとても信じられませんでした。
 彼らは農家だったり、森の管理人だったり、この辺りには自然を相手にして職業を営む人が多いため、彼らの意識や関心は常にー風がどう吹いているかー空気の匂いー雪を踏み込んだ時の音の変化や構成状況の変化ー鳥の動向ー木や植物の芽生え方ー動物達のふるまいー雲の流れ方ー空の色ー日射時間の変化…等という一見あまり意味のなさそうなスモールトークっぽい感じなのですが、実はこれは道端でかわす、今日は天気がいいね! というタイプのスモールトークとは全く異なるものであることに私はだんだんと気がつきはじめ(これらの変化は自分たちの農業や収穫物の出来栄え等に大きな影響を与えるので皆真剣なんです!)それ以来、自分自身もそのような事に自分の意識や感覚を研ぎ澄ます練習が出来るようになり、今では、ああ、本当に『空気の匂いが変わった! 多分明日は雪が降るだろう!』とか『長靴で雪の上を歩きながら、ああ、この感覚は大体マイナス摂氏xx度くらいかなあ』とか『あのオレンジの鳥が庭によって来た。2日後には雪だなあ!』とか『あ、空がXX色で雲がXXになってる、今は青空だけど、きっと午後は天気が思わしくなさそうだな』等、まだまだたくさんありますが、このような感覚というか・ゾーンというか今まで自分が自然や自分の周りに常にあること(空気、太陽、空、風、動物達、植物)といかに疎遠であったか、自然と離れて人生を歩んできたか、という事を改めて感じるようになりました。

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

関連記事