失われた日本の精神性を取り戻す
『共鳴磁場』2023年7・8月合併号
京都府立医科大学 名誉教授・文学博士
棚次正和
京都府立医科大学 名誉教授・文学博士
棚次正和
曖昧にされた日本の成り立ち
日本人が自信喪失の状態にあるというのは前々から感じています。江戸時代の終わり、明治維新の頃から既に始まっていたのかもしれません。そして、戦後のGHQの占領政策で決定的な打撃を受け、現在もその深刻な影響を被っています。未だコロナワクチン騒動が続いており、時代はまさに大変革の只中にあります。私は、次のパラダイム(認識の枠組み)は、「人の本質は神である」ことに気付くことが認識の中軸になると思っています。
今回のテーマである「日本人の精神性」が失われた原因の一つは、日本という国の成り立ちが曖昧に捉えられているからではないでしょうか。国の成り立ちは、古事記や日本書紀にも記されていますが、藤原不比等らによって編纂の過程で、肝心要の所に歴史を神話にすり替えるなどの偽装工作が行われたような気がしてなりません。
いずれにせよ、大事な認識は、日本人は「中心への意志」を持っているということだろうと思います。
この「中心とは何か」ということが、最重要の問いです。「権力への意志」、あるいは「力への意志」が、欧米諸国を含む世界の根底にあると思いますが、日本文化の特徴は、権力ではなく、権威としての「中心への意志」が根幹にあるのではないでしょうか。中心へと帰っていく求心の動きと、中心から外へと展開する遠心の動き。その求心運動と遠心運動が一つに連動して円運動や渦巻きを描き出します。